市山光一の愛車——MINI F54 クラブマンが語る、こだわりの解像度

街で見かけたフォルクスワーゲンのイエローに一目惚れし、ジャガーのブロンズとクロームでクラシック感を重ねた。フォトグラファー・デザイナー市山光一が、壊れるまで乗ると決めたMINIクラブマンの全貌。

大阪・南堀江を拠点に〈oneberg〉を率いる市山光一(Koichi Ichiyama)。フォトグラファーでありブランディング・デザイナーでもある彼にとって、クルマは移動手段以上のものだ。機材を積み、ロケに向かい、撮影のあとそのまま帰る——日常と仕事の境界をまたぐ、もうひとつのスタジオのような存在。

愛車は MINI F54(クラブマン)。「MINIのカスタムやりきった」と本人が言い切るほど、内外装のあらゆるディテールまで手を入れた一台だ。ベースカラーの着想は、街で偶然見かけたフォルクスワーゲン〈The Beetle Dune〉のサンドストームイエローメタリック。一度目にした瞬間の「これだ」という感覚が、あとからすべてのカスタムの起点になった。

アクセントにはジャガーのローマンブロンズ。天井、ミラー、フェンダー——色の役割をはっきり分け、ピラーはクロームメッキのラッピングで光を拾う。クラシックな佇まいを出すため、ワイパーをメッキ加工し、天井下にメッキのモールを一周貼った。ホイールは〈DEAN〉のCROSS COUNTRYを塗装し、ウォッシャーノズルやアンテナカバーまで細部をメッキに統一する。

塗装とカスタムの施工は〈POINT-K2〉に依頼。「機材もいっぱい乗るし、バック紙とかも2mくらいなら行けるし、目が丸くて最高すぎるので壊れるまで乗る」——実用と偏愛が、ひとつのボディに収まっている。

カスタムMINI F54クラブマンのフロントクォーター
サンドストームイエローメタリックのボディに、ローマンブロンズのルーフとフェンダー。ピラーはクロームラッピング。

一目惚れのイエローと、ローマンブロンズ

カラーの出発点は、フォルクスワーゲン〈The Beetle Dune〉のサンドストームイエローメタリック。街を走っていて偶然目にした色で、MINIの丸いフォルムに重ねたときの相性が想像以上だった。

アクセントカラーにはジャガーのローマンブロンズを採用。ルーフ、サイドミラー、フェンダーアーチ——ボディと屋根の境目で色が切り替わり、横から見たシルエットが一段と立体的になる。夕方の柔らかい光のなかでは、イエローの温かみとブロンズの深みが同時に立ち上がる。

MINIクラブマンのサイドプロフィール
横顔で見ると、イエローとブロンズの二色分けがいちばんよくわかる。
MINIエンブレムのクローズアップ
フード上のMINIエンブレム。メタリックの粒子が空を映す。

クロームでつなぐクラシック感

クラシックな雰囲気を出すために、ピラー全面をクロームメッキのラッピングで仕上げた。AピラーからCピラーまで、窓まわりが連続したメタルの帯のように見える。

ワイパーアームもメッキ加工。フロントガラス下に沿うモールは、天井下を一周するメッキのラインと呼応する。細い反射の線が、ボディの曲面に沿って流れていく。

リアまわりも例外ではない。テールランプのクロームベゼル、リアワイパー、ルーフライン下のモール——前後でトーンを揃え、どの角度から見ても「仕上げ切った」印象が続く。

メッキ加工されたワイパーとフロントガラス
ワイパーとウォッシャーノズルまでメッキ。雨の日も光る。
リアまわりのクロームディテール
テールランプとリアワイパーのクローム仕上げ。

DEANのホイールと、細部へのこだわり

ホイールは〈DEAN〉のCROSS COUNTRY。レトロなディッシュデザインのセンターキャップを、ボディと同系色に塗装して一体感を出した。タイヤのサイドウォールが太い分、足まわりの存在感がクラシックカーのようでもある。

ウォッシャーノズル、アンテナカバー、その他の小さなパーツまでメッキに統一。遠目では気づかないかもしれないディテールが、近づくほど「やりきっている」証拠になる。

DEAN CROSS COUNTRYホイールのクローズアップ
DEAN CROSS COUNTRY。ディッシュをボディカラーに合わせて塗装。

内装も、アクセントカラーで塗り分ける

内装も手を抜かない。アリエクで見つけたパーツをアクセントカラーのローマンブロンズで塗装し、センターコンソールまわりに貼り付けた。外装と同じ色の論理が、運転席にも続いている。

ステアリングは〈REAL〉のオールウッド。木目の温かみが、ブロンズのトリムと黒いダッシュボードのあいだに、ひとつだけ有機的な質感を足す。握った瞬間の手触りが、毎回のドライブの始まりになる。

シートはタンカラーのレザーに白いパイピング。外装のイエロー・ブロンズとは異なるトーンだが、クラシックな内装の雰囲気を崩さないバランスだ。

ローマンブロンズのセンターコンソール
センターコンソールをローマンブロンズで統一。
REALオールウッドステアリング
REALのオールウッドステアリング。

壊れるまで乗る、という理由

なぜクラブマンなのか。市山に聞けば、答えは明快だ。「機材もいっぱい乗るし、バック紙とかも2mくらいなら行けるし、目が丸くて最高すぎる」。

フォトグラファーにとってクルマは、機材の運搬手段でもある。三脚、ライト、背景紙——クラブマンの荷室は、見た目のコンパクトさに反して実用的だ。ロケの現場まで自分で走り、撮影が終わればそのまま帰る。仕事と趣味のあいだを、ひとつのハンドルでつなぐ感覚がある。

丸いヘッドライトと短いオーバーハング。MINIらしさは、カスタムで色を変えても消えない。サンドストームイエローにローマンブロンズ、そしてクローム——彼の視線で再構成されたクラブマンは、もはや誰かの真似ではなく、市山光一個人の偏愛の結晶だ。

カスタムの施工は〈POINT-K2〉が担当した。塗装の精度、クロームの仕上げ、内装パーツの取り付けまで——「やりきった」という言葉の裏付けは、職人の手仕事にある。

MINIクラブマンのフロントビュー
水辺のロケーションで。フロントの丸い目が印象的。
MINIクラブマンのリアビュー
クラブマン特有のツインバンドア。リアもクロームで締める。

PROFILE

市山光一(Koichi Ichiyama)

Photographer / Designer|〈oneberg〉代表

ブランディングを軸に、グラフィック・Web・写真・映像を横断するクリエイター。IPA 2024 Professional部門金賞、ハッセルブラッドを愛用。MINIクラブマンは撮影のロケ移動と日常の相棒。

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