描く、配る、咲かせる。奈良発・漫画家・西村友宏の仕事帳
〈STUDIO IDU〉代表・西村友宏(Tomohiro Nishimura)は、モーニング「ちばてつや賞」大賞受賞の漫画家であり、月刊バスケットボールで連載を持つスポーツ画家でもある。漫画、ロゴ、寺院の御朱印、考古イラスト——ジャンルを書き分ける幅広さが、彼のいちばんの強みだ。

奈良を拠点に〈STUDIO IDU(スタジオイヅ)〉を率いる西村友宏(Tomohiro Nishimura)。漫画家、イラストレーター、キャラクターデザイナー——肩書はひとつでは足りない。
2011年、彼は漫画制作事務所を設立した。「イヅ」は「出づ」。生まれる、現れる、出発する——作品を生み出し、奈良の地から日本中へ届けたいという思いを込めた名前だ。
バスケ雑誌の連載、企業向けイラスト、寺院からの依頼。依頼の幅は広いが、共通しているのは「一枚の絵のなかに物語がある」という感覚だ。主役からモブに至るまで、しっかりとしたパーソナリティが宿っている。
スタジオイヅ——「出づ」という名前
奈良の漫画・イラスト制作所。
〈STUDIO IDU〉は2011年、西村が設立した奈良の漫画・イラスト制作所だ。設立当初はイラスト制作を中心に、「もう一度、描くという仕事を勉強し直そう」という気持ちから始まった。二年目からスポーツ専門誌で漫画連載を任され、依頼の輪は年々広がっていく。
寺と、散華という仕事
西村の仕事が特に色づくのが、奈良の寺院との縁だ。コスモスの名所・般若寺のオリジナル散華を制作したことをきっかけに、地元奈良に関する仕事が増えた。
般若寺の副住職は、元プロボクサーという経歴を持つ、彼の中学校の同級生でもある。完成後、散華だけでなく西村自身をあちこちで宣伝してくれたという——「奈良にこんな漫画家がいますよ」と。
長弓寺円生院のブログ「ともに」Vol.23では、大和十三佛が描かれた十三枚の散華制作について語られている。こうやさんフェスタin奈良の大和十三佛お砂踏みで配られるもの——十三のお寺を深く知っていただく、責任のある仕事だと本人は書いている。
海龍王寺の特別御朱印「龍驤虎視」、龍虎絵図。漫画とイラストの境界を越えて、宗教空間に絵を置く。ここでも「描く」は、奉仕に近い。
漫画という本領
モーニング「ちばてつや賞」大賞。ヤンマガ月間新人漫画賞入選。これらは飾りではない。
月刊バスケットボールでは「FIVE OUT」を連載中。バスケ経験があり、かつて指導もしていたという背景が、絵の説得力に直結している。シュートのリリース位置が低すぎても高すぎても、プレーヤーは違和感を覚える——編集部が「素直に見ることができる」と評するのは、その積み重ねがあるからだ。
趣味との境界線は、彼の場合あいまいだ。奈良を描くことは、仕事でもあり、地の記憶を継ぐ行為でもある。
ジャンルを書き分ける——制作事例
〈STUDIO IDU〉制作事例より。
西村の強みは、ジャンルを境にしない「書き分け」だ。〈idu23.com/works/〉に並ぶ制作事例を見れば、その幅が一目でわかる。
漫画の合本装丁、ロゴイラスト、Webサイト用の人物画、マスコット、歴史イラスト、寺院の龍虎図、広告漫画、学校パンフレット——媒体もタッチも、依頼ごとにまったく違う。
依頼者からの声を見ても、画風の幅と柔軟さが繰り返し語られる。かわいいキャラクターから荘厳な宗教画、スポーツの動きまで、一本のスタイルに固まらず筆を替えられる。要望を伝えればその場でイメージを共有し、テイストやストーリーをすぐにブレストできる——引き出しの多さと即応力が、〈STUDIO IDU〉の仕事の芯にある。




PROFILE
西村 友宏(Tomohiro Nishimura)
代表|漫画家・イラストレーター|〈STUDIO IDU〉
2011年、奈良に漫画・イラスト制作所〈STUDIO IDU(スタジオイヅ)〉を設立。モーニング「ちばてつや賞」大賞、ヤンマガ月間新人漫画賞入選。月刊バスケットボール「FIVE OUT」連載。企業・寺院・公共施設向けのイラスト・漫画制作、オリジナルキャラクター・ロゴ制作を手がける。